浄土の世界は「広大無辺際(こうだいむへんざい)」であると表現されます。
人間世界では、とかくグループや派閥をつくって人を排除しますが、浄土の世界は一人も漏らさない、どのような人も入ることができるということ。それを「広大」という言葉が表しているのです。
「無辺際」というのは、果てしないということでもありますが、もう一つの意味がありそうです。
それは、端っこがないということです。人間世界では「自分を中心にするかぎり、人を傍らにしていく」ということがあります。そうではなく、誰かを端っこに追いやることのない、それぞれが中心である世界。一人ひとりが主役になる世界が「無辺際」なのです。
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このように浄土にふれると、逆に、私たち人間世界が見えてくるのですね。
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明順寺住職:齋藤明聖