第114回:「広大無辺際」

浄土の世界は「広大無辺際(こうだいむへんざい)」であると表現されます。

人間世界では、とかくグループや派閥をつくって人を排除しますが、浄土の世界は一人も漏らさない、どのような人も入ることができるということ。それを「広大」という言葉が表しているのです。

「無辺際」というのは、果てしないということでもありますが、もう一つの意味がありそうです。

それは、端っこがないということです。人間世界では「自分を中心にするかぎり、人を傍らにしていく」ということがあります。そうではなく、誰かを端っこに追いやることのない、それぞれが中心である世界。一人ひとりが主役になる世界が「無辺際」なのです。

このように浄土にふれると、逆に、私たち人間世界が見えてくるのですね。

明順寺住職:齋藤明聖