第95回:「他人を見る眼」

東日本大震災が起きてから、「つながり」「絆」という言葉をよく目にするようになりました。

お釈迦さまが「縁起の法」に目覚められたときの言葉があります。「諸(もろもろ)の衆生において、視(みそな)わすこと自己のごとし」(『大無量寿経』)。

『スッタ・ニパータ』には、「真理は一つであって、第二のものは存在しない。その真理を知っ た人は、争うことがない」「あたかも母が、己が独り子を、身命を賭して護るように、そのように一切の生きとし生けるものどもに対しても、無量の慈しみのこ ころを起すべし」とあります。

お釈迦さまは、すべてのものを、あたかも自分を見るかのように見ておられたということなのですね。

明順寺住職:齋藤明聖