お寺で思い浮かぶものに「木魚(もくぎょ)」がありますね。禅宗や浄土宗のお寺でよく見かけます。浄土真宗では使いませんので残念ながら明順寺にはありません。
「木魚」は、読経のときに僧侶が調子をあわせるために使う、魚をかたどった法具です。大きいものですとズンズンという音が、小さいものだとポクポクという音がします。
魚は昼も夜も眼をあけているところから、これを打って修行僧の眠気を戒めるのです。仏教では「睡眠(すいめん)」は居眠りのことで、心が鈍重になった状態として迷いの一つとされています。
法然上人は、寝ることも惜しんで一日に百万遍の念仏を称えたといいます。親鸞聖人は「寝ても覚めても南無阿弥陀仏」と言われました。だから寝ていてもいい、というのではありません(笑)。
親鸞聖人の臨終を伝えるものに「念仏の息絶えて…」という表現がありますが、聖人の生活そのもの、呼吸までもが、南無阿弥陀仏のはたらきの中にあったということなのでしょう。
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明順寺住職:齋藤明聖