第142回:「日本宗教連盟理事長に就任」

このたび、6月26日付けで、図らずも公益財団法人 日本宗教連盟の理事長を拝命いたしました。

日本宗教連盟で思い起こしますのは、9年前の公益法人制度改革のことであります。宗教法人が公益法人であるという法的根拠となる民法第34条が無くなるという危機にあたり、内閣府に一か月におよぶ要請行動を余儀なくされたのでありました。当時、私は日本宗教連盟の事務局長でした。

幸いにも、あえて勝利と申し上げますが、勝つことができましたのは、文化庁宗務課の良きご指導と日本宗教連盟所属の5団体(神社本庁・新日本宗教団体連合会・教派神道連合会・日本キリスト教連合会・全日本仏教会)の信頼関係と一致結束した協力体制があったからでありました。

今、現代社会は苦悩しています。不安、生きづらさ、孤独感が蔓延しています。格差も拡大し、成人6人に1人、子ども6人に1人が貧困と言われています。

役に立つ者・立たない者という理性至上の人間中心主義の傲慢さによって、一人ひとりのかけがえのなさを喪失している状況であると言えましょう。

『仏説無量寿経』には、地獄・餓鬼・畜生のいない国をつくりたいという仏さまの願いがあります。地獄は戦争であり、餓鬼とは貧困、畜生とは権力への隷属であります。

私ども日本宗教連盟は、公益財団法人となってまだ4年目であります。常に公益目的事業を精査点検しながら、限られた活動の中でありますが、宗教文化振興事業を有効に展開し、もって宗教者の本分を尽くし、社会の負託に応えていかなければと心を新たにするものであります。

全日本仏教会理事長・齋藤明聖(明順寺住職)
全日本仏教会理事長・齋藤明聖(明順寺住職)