第98回:「内観」

仏教では「内観」ということを大切にします。「内観」とは、主観を払って見るということなのでしょう。

曽我量深先生は「内観」ということについて、次のように言われたといいます。
「内観」とこの頃の人の言うのは、自分の眼で自分の心を覗きこむつもりでおるのではないでしょうか。そんなものは「内観」ではございません。自分の心を外側から見ておるだけです。それは外観というのです。

「内観」とは、外のことが、あるがままに見えるということを「内観」というのです。自分の心を覗きこむことではありません。

なるほど、自分を含めて、あるがままの世界が、あるがままに見える、これが「内観」の事実なのですね。

そのための眼を賜わる。それが仏教という大いなる智慧のはたらきなのでしょう。身の事実にほんとうに頷(うなづ)く。そこに、阿弥陀さまの本願のまことのご苦労が知らされるのでしょう。

明順寺:齋藤明聖