去る5月、台東区観光課が浅草仏教会理事長(当時)の私を尋ねてきました。大震災以降、自粛ムードで浅草の例年の行事もできなくなっている。浅草から元気を発信し、被災者の皆さまを勇気づけるようなことはできないか、という相談でした。
私は、直感的に思いました。8月のお盆ならぎりぎり間に合う。僧侶100人が雷門から行道し、本堂でお盆供養ができたら素晴らしいと。それが8月25日に「浅草寺」を会場に行われた「東日本大震災犠牲者追悼百僧法要―被災地復興祈願―」の発端でした。
結果は、別に記載してあるように予想をはるかに上回る賛同者を得て盛大な催しとなりました。 特に、NHKで放映され、東京新聞の一面をかざることができたことは特筆に値することと思われます。通常、一宗派が行う行事は、新聞や雑誌は取り上げてく れません。しかし、こうした宗派を超えた行事は掲載してもらえるのです。
国民の宗教離れ、お寺と地域との遊離が指摘されるなか、仏教界は国民や地域と新たな関係を構 築していかなければなりません。それにはマスメディアによる「広報」が必然の課題です。今後は、そういう意味で地域仏教会の活躍がますます期待されるので はないでしょうか。いよいよ地域仏教会の時代が到来すると言えるのかもしれません。
明順寺住職:齋藤明聖