第37回:「一生を荘厳してあげよう」

先日、生後まもなく亡くなられた赤ちゃんのお葬式に行ってきました。いたたまれない思いのなかで、親鸞聖人が六角堂に百日こもられたときの「夢告(むごう)」を思い出しました。

救世観音菩薩が、親鸞聖人の前に姿をあらわして「私が美しい妻となって、あなたの生涯を荘厳(しょうごん)し、臨終のときに極楽へ導いていこう」と告命(ごうみょう)するというものです。

そこで、その言葉をかりて言えば、赤ちゃんは「私が美しい仏さまとなって、お父さま、お母さまの生涯が輝くものとなるようにしてあげましょう。そして一生を終えたときには、極楽浄土へ導いてあげましょう」と。

赤ちゃんは「お父さま、お母さま、どんなに愛おしいといっても、人間は生まれたかぎり必ず死ぬのですよ。どうか、お二人の一生が輝くものとなるように、い のちを尽くして生きてくださいね」と、自らのいのちをかけて願ってくれているのだと思います。

仏さまのような、赤ちゃんの純粋無垢な顔をみて、そのようなことを考えさせられました。

明順寺住職:齋藤明聖