統合医療をすすめる帯津良一先生は、 医療とは患者・家族・医者などがつくる「場」の営みであって「場」のエネルギーを高めることによって皆が癒されていくことが大切であるといわれています。
いま教育現場もさまざまな問題をかかえていますが、同じことがいえるのではないでしょうか。生徒・保護者・先生が一緒になって「場」のエネルギーを高め、 ともに癒されていくことが今日的課題とされているように思われます。
現代は、それまで人間関係のよりどころであった、家族・地域社会・仕事場といったような場(関係)に大きなひずみが生じてきています。そうした中で、人々 はほんとうに安心できる「居場所」を求めているといえるのではないでしょうか。
東京教区は、親鸞聖人750回御遠忌(ごえんき)をすすめていくうえで「人の誕生」と「場の創造」を掲げました。仏教は教えにうなずかれた「人」の歴史で あり、そうした人々を中心に、お寺が「場」として開かれていった歴史であります。
次代に向けて、お寺という「場」がどのように開かれ、エネルギーを高めて いくことができるのか、帯津先生には貴重な示唆をいただいたように思います。
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明順寺住職:齋藤明聖