東京2組「寺族研修」

東京2組「寺族研修」

明順寺にて開催されました。
「東本願寺における環境問題への取り組み―環境問題をあらゆるいのちの問題と受け止めて―」と題して、真宗本廟両堂等御修復事務所の延澤さんにお話を伺いました。
いま本山東本願寺(真宗本廟)では親鸞聖人が安置される御影堂(ごえいどう)の修復工事をほぼ完了しました。御影堂は1895(明治28)年に竣工した幅 76メートル・奥行58メートル・高さ38メートルの世界最大の木造建築で、瓦の枚数が約175,000枚、927畳敷きの二重屋根構造入母屋(いりも や)造り、道場形式の建造物です。
「修復工事は環境配慮型」をコンセプトに、太陽光パネルや雨水貯留タンクの設置、明治期の瓦も100パーセント再利用・再資源化を図っています。地域住民 や環境NPO団体との交流も生まれ「東本願寺と環境を考える市民プロジェクト」が立ち上げられました。こうした取り組みから東本願寺は「エコジャパンカッ プ2007」を受賞。「とかちローカルサミット」へも参加しました。

ここに「とかちローカルサミット宣言」の一部を紹介しておきましょう。

  • 自然を支配・利用するだけの人間中心主義のあり方には限界があり、まずはそのことに現代人が気づき「人間と環境」との二分法からの意識転換をはかる必要性がある。
  • 忘れかけられている地域の仕組み、ライフスタイルの中に解決の手がかりを求める。日本がかつて有していた英知を学ぶことを通じて、生きとし生けるものを尊重し、循環と共生に立脚する「場所文化」を蘇(よみがえ)らせ発信し、連携していくことを宣言する。
  • 蘇る「場所文化」は、利便性や欲望のあくなき追求をやめ、いのちの原点に立ち戻り、出あい、学びあい、助けあいに立脚する。
  • 豊かさの源泉を利潤追求型の産業からエコファクチャーへと転換する。いのちの輝きに貢献するものづくりに従事していく中で、人々の労働意識は「稼ぎ」から「仕事」へと転換する。
  • 金融は、貨幣に換算しきれない価値を増加させる新たな金融の仕組みを創出しつつ、貨幣価値至上の主客転倒から脱却する。
  • 学びは、いのち・心を大切にし、世代を紡(つむ)ぐ伝統的共同体の教育力の再生を期待する。

社会からお寺の存在意義が厳しく問われ、地域社会との遊離も指摘されているなかで、環境問題 という課題からNPO団体との協働をとおして地域社会との関わりを模索しつづける延澤さんの孤軍奮闘ともいえる取り組みに感動を覚えました。残念ながら東 本願寺の環境問題に対する取り組みは全体的な認識には程遠い状況です。環境問題はいま最も注目される世界的課題でありますが、実は私たちの「内なる課題」 なのだということを気づかされた貴重な研修でした。

明順寺住職:齋藤明聖

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