報恩寺「定例法座」

講師は同朋大学名誉教授(名古屋市)の池田勇諦先生です。今回は「信に死し、願に生きる」(曽我量深先生のことば・昭和36年)についてお話いただきまし た。「信に死し」とは、永遠の真実に触れることによって自力の分別(はからい)が殺されることであり、「願に生きる」とは本願に生きるということ、私はど こまでも仏のお考えどおりに育てられていくという体験なのであります。本願成就の事実とは本願が満足する道であって、私が満足する道ではないということで す。「生きているうちに死んだ者は、死んだ時に死なない」池田先生はこうも表現されます。
「本願に生きる」ということを曽我量深先生は「真実の祈り」に生きることであるといわれました。「真実の祈り」とは、私たちが仏にかける願いではありませ ん。仏からかけられた祈りであり、私たちはその祈りに目覚め、生きることなのです。私たちの祈りと仏の祈りとは、質と方向が違うということです。
真実の祈りとは「世の中安穏なれ、仏法弘(ひろ)まれかし」という他者への祈りとなります。仏法のお役に立たせていただく生き方、歩みをさせていただくこ と。本願のお仕事に参加させていただくことであります。(概略要旨)

明順寺住職:齋藤明聖