比叡山にて「別請豎義」勤まる

「別請豎義(べっしょうりゅうぎ)」は、天台宗における最高の法階である「探題(たんだい)」に至るための最高の関門であり、「豎者(りっしゃ)」という講師(こうじ)としての学識と信仰が試される最も深難な論議として重要視されているものです。

去る、9月29日から30日にかけて、比叡山延暦寺「講堂」において執行されました。このたび、「豎者(りっしゃ)」を務められるのは、私が大学時代にお世話になった「妙法院門跡」菅原信海先生です。そのようなことで、お招きにあづかり、随喜させていただきました。

「探題(たんだい)」より論題が与えられると、「門者(もんじゃ)」と「豎者(りっしゃ)」との間に、四重の問答の往復があり、「豎者(りっしゃ)」の答弁に対し、さらに「探題(たんだい)」より三重の精難による問答が行われ、あらゆる角度から経文の深旨を論じ尽くしていくものであります。

問答は、29日12時20分から、翌朝午前2時10分まで続いたということです。その後、満散披露清振舞がなされ、散会となりました。

昔は、比叡山が日本仏教の学びの道場でしたから、今で考えれば日本仏教の教学の最高峰であり、そこに至るまでの様々な議論がなされた上での問答の場であったのだと思われます。

こうして、日本仏教の教学が確立していったのですね。

菅原信海・妙法院門跡
菅原信海・妙法院門跡
「探題」の到着
「探題」の到着