第81回:「“お寺の手帖”再開します」

明順寺のホームページを開設するときに考えたのは、お寺の「広場」をウェブ上に創り上げたいということでした。昔は、お寺は地域のコミュニティー的 存在でした。「寺子屋」といわれたように、そこは学ぶ場であり、あるいは癒しの場であり、集いの場でありました。それがいつしか閉ざされた場となっていっ たのです。地域との遊離が指摘される現状です。

ホームページを開いたときに、お寺の伽藍の写真がドーンと出てきて、お寺の由緒沿革は…となっていたらどうでしょう。若い、お寺に馴染みのない人たちは、きっと引いてしまうに違いありません。

そこで、あえてお寺らしさを前面に出さずに、さまざまな要素のすべてが明順寺ですという表現をとることにしました。「楽しい・得した・役に立つ」というホームページ制作のコンセプトがそこから生まれました。

「お寺の手帖」は、そうした意味で貴重な題材となりました。
「思わず“へぇ~”って言っちゃうような楽しいおはなしです」という書き出しは、皆さまにも親しみと楽しさをお伝えできるのではないかと思います。

仏像ガール・廣瀬郁実さんの語りかけるような文章、白石さちこさんの誰にでも愛される挿絵 (刺繍)。廣瀬さんは仏像ガールを名のっての最初の仕事が「お寺の手帖」でした。白石さんは、明順寺キャラクターのミョウちゃん・ジュンちゃんの生みの親 です。今や二人とも、それぞれの分野で大活躍しています。

ホームページ開設1周年を記念して「お釈迦さまの生涯」を 連載し、その間、「お寺の手帖」をお休みさせていただいてきましたが、このたび再開することにいたしました。作家は、住職です。いろんな人が書いてもいい のではないかと試みに第6話を自ら書いてみました。白石さんには、引き続き挿絵をお願いしました。これも、手間のかかる刺繍にかぎらず、どのようなタッチ で描いてもらってもいいのではないでしょうか。

年に数回の更新を予定しています。これからも「お寺の手帖」を楽しみにご覧いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

明順寺住職:齋藤明聖