第82回:「尊さにめざめる」

福井県「永平寺」は、鶴見の「総持寺」とならぶ曹洞宗の大本山です。30代のころ、同和問題の研修会で宿泊したことがありました。

廊下を修行僧(雲水)が整然と歩いています。すれ違いざま、お互いが立ち止まって合掌礼拝(らいはい)します。

それは、お互いの人格を拝みあっているというよりは、個々が内包する尊さ(仏心)に合掌礼拝しているのだと感じました。拝み、拝まれるところに、自分自身の自覚を超えた、お互いの尊さが知らされるのでしょう。

覚(さと)りとは、自分をふくめた一切の尊さに目覚めることと言えるのかもしれません。すべての存在に意味があり、価値があって、それらが関係しあって、私を支えてくださっている。同時に、私も何かを支えている掛けがえのない存在なのでしょう。

明順寺住職:齋藤明聖