第21回:「チベット情勢について」

中国ではオリンピックを目前にしてチベット問題が浮上してきました。

私が全日本仏教会事務総長のとき、中国仏教協会のナンバー2といわれる人が尋ねてきま した。とても若い優秀そうな人でしたが、中国にはダライ・ラマ問題と台湾問題がある、しかしこれらにこだわっていると日本と中国の仏教界の友好は進まな い。これらの問題は、将来、私たちよりも頭のいい人が現れてきっと解決してくれるだろうから、私たちはとりあえずこれらの問題を置いておいて仲良くした い、という内容でした。

おそらく中国はオリンピックを控えて、アジア諸国と中国との友好を促進するには仏教しかないと考えたのでしょう。中国仏教協会は日本と違って国の政府機関でありますから、これは中国政府の方針だろうと想像されました。

中国における報道の自由度は北朝鮮並みだといわれているそうです が、関係筋からの情報によりますと、チベットでは世界が知らない、知ることができないさまざまな深刻な事態が起きているようです。

全日本仏教会でも2度にわたり中国政府、ダライ・ラマ14世、国連事務総長、日本政府に対し、対話による解決を求める声明を出しています。今年の秋には WFB世界仏教徒会議が日本で開催されますが、必然的に中国仏教協会の出席とチベット問題への対応が注視されることになります。

明順寺住職:齋藤明聖