東京教区「聖典学習会」

13:00から17:00まで練馬区谷原の「真宗会館」で第3回が開催されました。講師は同朋大学名誉教授の池田勇諦先生です。
『教行信証』に学ぶと題して「教行信証は何を課題とする書物か?」という内容でした。教行信証は正確には『顕浄土真実教行証文類』といいます。その大号を どのように訓読するかによって二つの意味が考えられます。一つは「浄土の真実の教行証を顕わす文類」であり、これは伝統的な読み方といえます。聖道門 (しょうどうもん)に対して浄土門を明らかにしようとするものであり、教主である釈尊につくものです。親鸞聖人の立教開宗の宣言ともみることができます。 二つ目は「浄土を顕わす真実の教行証文類」であり、これは比較的新しい読み方といえます。穢土(えど)に対して浄土をあきらかにしようとするもので、これ は弥陀につく読み方といえます。死んだらどうなるのか?浄土に帰らせていただくのである。これは間違いないのですが、浄土は仏道を離れてなりたつものでは ありません。真実の教行証によって浄土に生まれることができるのです。そうでなければ浄土がただの観念の世界におちいってしまいます。そしてこれは浄土に はたらかれて仏道を得ていくことを意味しています。浄土が出発点となる教えであります。「浄土まいりをさせていただく教え」です。これを池田先生は「浄土 が凡夫まいりをしてくださる教え」といわれました。人生が浄土に方向づけられるということです。また池田先生は「教え(法)は追いかけるものではない。生 きてはたらくもの。法の他にさとる人はいない、法そのものになる、この一如である世界が見つからないと、さとれない」と表現されました。もうひとつとても いい言葉を教えていただきました。「いまが一番いい時 いまが一番大事な時」。いまの時代は刹那的(せつなてき)な「今」しか知らないのでしょう。仏教で は、過去・現在・未来ではなく、過去・未来・現在といういい方をしますが、過去をおさめ、未来をもはらむいまを生きるということなのでありましょう。

明順寺住職:齋藤明聖