第130回:「全日本仏教会理事長に就任」

このたび、6月18日付にて第三十一期理事長の職を拝命することになり身の引き締まる思いであります。

思えば、2004年から2006年まで事務総長を勤めさせていただき、広報課題の克服を将来展望とする「改革推進委員会」答申の取りまとめ、「ルンビニー園復興事業」の終結、「財団創立50周年記念事業」ならびに「世界仏教徒会議日本大会」の企画立案に関わらせていただきました。

また、「日本宗教連盟」の事務局長を兼務して、「保険業法改正問題」、「公益法人制度改革問題」で厳しく対応し成果をあげたことを思い出します。

ところで、現代社会には、不安、生きづらさ、孤独感が蔓延しています。合理的な思考と科学を絶対視し経済的豊かさを追求してきた結果、いのちの感覚、一人ひとりのかけがえのなさを喪失しているのでしょう。私ども仏教界の果たすべき使命は、いよいよ重大さを増していると認識するものであります。

一方、東日本大震災からの仏教界の動きに注目してみますと、緊急事態や地域復興における寺院の果たした役割は積極的に評価されるべきものがあります。国民の宗教離れ、寺院の地域との遊離が指摘されるなかで、仏教界のもつ公益性を社会に提示していくことは重要課題であります。

早いもので、2017年には財団創立60周年を迎えます。「全日本仏教徒会議」「世界仏教徒会議日本大会」が計画されていますが、社会の負託に応えうる事業となりますよう議論を尽くしてまいる所存であります。

今日までの歩みを顧みて、全日本仏教会の発展にご尽力くださいました諸先達の意志を受け継ぎ、職務を精一杯勤めてまいりたいと存じます。会長をはじめ、皆さま方の温かいご理解とご協力をお願い申し上げまして、就任のご挨拶とさせていただきます。