現代という時代社会は、特に若者たちを中心に、不安、生きづらさ、孤独感が蔓延しているように思われます。
それは、合理的思考と科学を絶対化し経済的な豊かさを追求してきた結果、いのちの感覚を失い、一人ひとりのかけがえのなさを見失っているからなのではないでしょうか。
仏教は、お釈迦さまの人間としての苦悩から生まれ、いつの時代においても苦悩する人間を照らし受けとめてきました。
今まさに、人間とは、生きるとは、そしていのちとはということが、私たち自身を根底から問い直す大切な問いとして現われてきているのではないでしょうか。
果たして、仏教界は今、この問いに十分に応えられているでしょうか。私ども仏教界の果たすべき役割を、誠実に見直す契機ではないだろうかと強く感ずるものであります。
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明順寺住職:齋藤明聖(釋 明聖)