第75回:「人間の縦糸と横糸」

布地は縦糸と横糸で織られています。仏教界も、さまざまな宗派が縦糸となり、地域仏教会が横糸となって構成されているとよく譬えられます。

人間のありようにも縦糸と横糸が考えられます。仏さまとの関係(絶対無限との関係)が縦糸。人間との関係(相対有限との関係)が横糸です。

だいぶ以前に出版された『菊と刀』には、日本人は横糸、人間関係の中で生きる「恥の文化」であるという指摘がなされていました。

一方、仏さまとの関係、人間存在を超えるようなものとの縦糸の関係性は「罪の文化」と言えます。昔の人の言葉にありますね。「仏さまだけは、見てござる、知ってござる、聞いてござる」ということです。

明順寺住職:齋藤明聖