第2回:「縁~つながり」

帝釈天をご存知ですか?柴又の寅さんで有名です。この神様は、仏法の世界を守るために世界を覆う大きな網を張り巡らせました。

結び目の一つ一つには、きらきらと輝く宝の玉が下げられています。これが人間です。人間は、一人ひとり輝いているのです。

そして、一つの玉が揺れると、そ の揺れた光が隣の玉に反射して、さらに隣の玉に伝わっていく。それは、網ですから、今の言葉でいえば、ネットワークという言葉になるのかも知れません。

東南アジアの国に行くと、お釈迦様の坐像で、右手を地面につけている「触地印」という姿の像があるそうです。それは、みんなこの地面において、つながってい ることを表しているのです。

砂漠化した現代人という言葉を耳にします。人と人との関係性が希薄で、若者たちも孤立化している今こそ、「ご縁」というつなが りのある世界を再認識することが必要ではないでしょうか。

人と人、人と地域、人と社会、地域と地域、国と国、環境問題でいえば人と地球との関係。。。ひい ては相手を思う心、支えあう姿勢が求められているのです。

そういう意味で、マザーテレサも同じことを言ってましたが、慈悲の反対語は「無関心」です。無関心がもっとも罪深いことなのです。

ある老僧が、「今の若者たちが孤立化しているのは法事をきちんと勤めないからだ」と言ってました。それは、極端な言い方でありますけれども、法事をつとめ ることによって、知らず知らずのうちに、先祖からの遠いご縁を感じ、また親戚や知人の縁の中に自分があることを知る。いろんな縁によって今の自分があるこ とを学べるからではないでしょうか。

明順寺住職:齋藤明聖