第4回「歎異抄講座」開催

2025年10月11日午後2時より第4回明順寺「歎異抄講座」が開催されました。講師は、新潟県久唱寺住職・橘出先生です。

先生にいただきましたレジュメを掲載しておきます。

明順寺さま歎異抄講座(第4回)

第2章【現代語訳】
①あなた方が、はるばると関東から京都まで、十余の国境を越えて、いのちがけで私をお訪ねくださったご本心は、ただひとすじに、阿弥陀の浄土へ生まれる道を問い尋ねて、聞き
開くためです。
②それにもかかわらず、私が、念仏のほかにも浄土へ生まれる道を心得ているとか、またそのための経釈の文なども、いろいろと知っているだろうから、それが知りたいなどと思っ
ておられるのでしたら、大変な誤りです。もし、そのようなご希望ならば、奈良や比叡山にすぐれた学者たちが多くおいでになることですから、その人びとにでもお会いになって、
浄土に生まれるための要義をくわしくお尋ねになるのがよいでしょう。
③この親鸞においては「ただ念仏して、阿弥陀仏にたすけていただけ」という、よき人のお言葉を聞いて信ずることのほかには、なにひとつとして特別なわけなどはありません。
④ほんとうに、念仏は浄土へ生まれる原因なのであろうか、または、地獄へおちる業因なのであろうか、そういうことも、まったく知りませんし、知る必要もないのです。ですから、
もし仮に、法然上人にだまされて、念仏して地獄におちたとしても、決して後悔はいたしません。なぜかともうしますと、念仏以外の立派な修行をして、仏に成るという能力のあ
る身が、念仏したために地獄へおちたとでもいうのでしたなら、「だまされた」という後悔の思いも残ることでしょうが、どんな修行もしょせんは成し遂げることのでできないこの
身にとりましては、結局、地獄だけが決まった住み家なのです。
⑤もし、阿弥陀の本願が真実であるならば、それを説かれる釈尊の教えは嘘ではありません。釈尊の説かれた教えが真実ならば、善導大師のご解釈に偽りがあろうはずはありません。
善導大師のご解釈が真実ならば、法然上人のお言葉が、どうしてたわごとといえましょう。法然上人のお言葉が真実ならば、親鸞の申すことも、これまた、まんざらの無駄ごとでは
ない、といえましょうか。
⑥要するに、この愚かな身にいただく信心とはこのようなものであります。。ですから、このうえは、念仏を信じられようとも、また捨てられようとも、あなた方、お一人お一人の決
断にまちます、と聖人は教えてくださいました。

【用語】
おのおの  関東、とくに常陸(現茨城県)を中心にした門弟たち。『門侶交名牒』には48人の名がある。

十余ヶ国のさかい  常陸・下総・武蔵・相模・駿河・遠江・三河・尾張・伊勢・近江・京身命をかえりみずして命をかけてでも求めたものは何だったのか。「ほんとうの救い」
南都北嶺  当時国から認可された旧仏教勢力。八宗は、奈良の法隆寺・元興寺(三論宗・成実宗)、興福寺・薬師寺(法相宗・倶舎宗)、東大寺(華厳宗)、唐招提寺(律宗)。比叡山
の延暦寺(天台宗)。(他に高野山金剛峯寺、東寺などの真言宗がある。)
よきひと  善知識。真のよりどころに導いてくださる人。親鸞にとっては、法然上人。
cf.「南無阿弥陀仏の教えに生きている人に出遇ってください」
親鸞におきては  大事なことを述べる際は、実名を名告る。
自余の行  念仏以外の行。
仏になりべかりける身  仏になるはずであった。では、「仏」とは何か?
いずれの行もおよびがたき身  どの行も修めることのことのできない身。

【ポイント】
〈ほんとうの仏教〉(佐々木正) 仏教とは、「仏になる教え」
「仏」とは、「目覚めた人」→何を覚ったのか「縁起の理法」→迷妄・流転からの解脱を認識。→自己の思いに空しく終わる人生から、人生の事実を事実として生きる人間へ。

如来所以興出世唯説弥陀本願海(お釈迦様がこの世にお出ましになられたのは、ただ阿弥陀さまの本願を説くためであった。)→親鸞聖人の領解
私にとって、〈ほんとうの仏教〉→「親鸞におきては」「宗教は、主観的事実」である。(清澤満之)

不断煩悩得涅槃(煩悩を断たずして涅槃を得る)→「無出家仏教」(佐々木正)「生活者の仏道」(湯浅成幸)
「浄土真宗が仏教ならば、浄土真宗以外の仏教は仏教ではない。浄土真宗以外の仏教が仏教ならば、浄土真宗は仏教ではない。」
凡夫の助かっていく道→ 九品唯凡(上品上生から下品下生まで)
「家庭を持ちなさい」(六角堂の夢告)

本願「ただ念仏して弥陀にたすけられまいらすべし」
第一願「わたしの国に生まれたなら、いのちをきずつけ合い、欲によってうばい合い、だれかに支配されることのないようにします。」(『真宗児童聖典』)
第十八「わたしは、たとえどんないのちであっても、本願を信じて、わたしの国に生まれたいと思い、南無阿弥陀仏を称えれば、かならず生まれるようにします。

以上