浅草仏教会「成道会」

浅草仏教会「成道会」

今年の法要は、曹洞宗有志諸大徳により勤められました。他宗の法要儀式に接する機会はあまりないので、たいへん興味深く参詣させていただきました。

続いて講演。月刊『寺門興隆』編集発行人の矢澤澄道氏(高野山真言宗安楽寺住職)の「お葬式はだれのためにするのか」というテーマでのお話です。

住職が対象の講演会でしたが、ジャーナリストらしい小気味いい切り口で、葬儀の現状や課題をお話くださいました。

仏教は人間のための教え、だから死に関わってきた。葬儀はだれのためか、もちろん人びとの救済のための仏教であるが、お布施は「仏・法・僧(サンガ)」の相続のためにある。お寺を守るため、自分が生きるため、仏法興隆のため。お布施以外の収入は ないのだから、僧侶は葬儀を最前線と考え、闘いではないが、そのくらいの心構えで臨むべきだ。

他の宗教は、年収の○パーセントを教会に納める教会税という発想がある。もっとも低いキリスト教でも年収の10パーセントとも聞いている。それを制度化しなかったのは仏教だけであると、マックス・ウェーバーも言っている。

葬儀に関わる費用は一時的に大きなものになるが、それを20年~30年で平均化すると、日本 での家計に占める宗教に関わる費用はわずかだと言われる。外国人が信じられないと驚愕するほどだ。仏教はそうして宗教に関わる経済的負担や戒律から人びと を解放させ、救済を与えてきた。人びとは物心両面で宗教にコストをかけずに生きることができるようになったのである。

明順寺住職:齋藤明聖

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