第118回:「いのち 日々あらた」

死にむかって
進んでいるのではない
今をもらって生きているのだ

今ゼロであって当然の私が
今生きている

ひき算から足し算の変換
誰が教えてくれたのでしょう
新しい生命
嬉しくて 踊っています

“いのち 日々あらたなり”
うーん わかります

これは、北海道西念寺坊守・鈴木章子(あやこ)さんが、47歳で亡くなるまでの癌との闘いの日々のなかで書き綴った詩集『癌告知のあとで』(探究社)に載せられているものです。

迫ってくる死を前にして、ひき算しているのは、自分の命を自分のものとしていることだと言うのです。

それが、日々新たないのちを「今もらって生きている」ものとして、今日もまた一日をたまわったと嬉しくて踊っている。そういう日々を生きるものとして「変換」させられているということですね。

明順寺住職:齋藤明聖