第117回:「共命鳥」

『仏説阿弥陀経』に「共命鳥(ぐみょうちょう)」という鳥が出てきます。昔インドにいたとされる鳥で、姿も鳴き声も美しいことで知られていました。ただこの鳥は、首から上、つまり頭が二つありました。

あるとき口論になり、片方がだまして一方に毒の実を食べさせてしまいます。体は一つですから、食べさせたほうも命を失うことになってしまいました。それを仏さまが救い取って浄土に放たれたというのです。

私たちの命は、全てつながっているのです。同じ命を分け合って生きているとも言えましょう。ですから、つながっている命どうしが争うと、命、全体が損なわれてしまうのです。

しかし一方で、私たちが生きるということは、他の命を奪うことなしには成り立ちません。食事がそうです。その痛みから「(命を)いただきます」と言わずにはおれないのです。

『あなたが あなたになる 48章』真城義麿著(東本願寺出版部)から抜粋

明順寺住職:齋藤明聖