第50回:「Just as I am」

これは、イギリスから日本に来た仏教徒、ピーター・ライト氏の言葉です。「そのまま」という意味でしょうか。氏が以前に「真宗会館」で話した、そのダイジェスト(要約)を見せてもらいました。氏はこう言います。

浄土真宗の教えが私に教えて下さったことは、自己をありのままに見ること、ふつうの人間としての私自身を受け容れること、そして、自分の人間らしさと常に接触を保つということです。

人がなしうるもっとも偉大な、そしてもっとも重要なことは、いったい何でありましょうか。それは、いつわりのない自分―限界を背負った弱い存在―に気づくことでしょう。そしてこのことが真に目覚めるための出発点であるように思います。

善導大師の二河白道の譬えの示しているように、私たちはこの世におりながら、浄土を垣間見る ことができますが、ひとたび浄土を生きている間に実感するならば、阿弥陀さまは「摂取(せっしゅ)して捨てない」という誓いを立てて下さっておりますよう に、その体験はけっして失われることはありません。ですから、この世の終わりに臨んだ時には、私たちは真の故郷―すなわち、お浄土に還(かえ)らせて頂け るのでありましょう。

ピーター・ライト氏が、親鸞聖人の教えに傾倒した理由について、彼は「法に気づかされるに、最も自己を偽ることのない現実的な教えだと思う」と言われています。

明順寺住職:齋藤明聖