第27回:「人間まるごとの医療」

最近の若い医師は、パソコンとカルテだけを見て患者の顔を見ないということをよく耳にします。ガンができると手術をしてその部位を削除するのですが、また再発してしまう。これで本当にガンが治ったといえるのだろうか。

NHK「こころの時代~宗教・人生『いのちへの旅路』」に出演された帯津三敬病院(埼玉県川越市)名誉院長・帯津良一先生は、西洋医学と代替医療(いわゆる漢方などの東洋医学)を統合したホリスティック(全体)医療をめざして自ら病院を開設された先生であります。

先生は言われます。医療とは患者や家族・友人・医療者などが作る「場」の営みであり、医療という場のエネルギーが高まり当事者すべてが癒されていくことが 大切である。ホリスティック医療とは、人間まるごと、こころといのちに働きかける医療であって、生きる悲しみと向き合いながら生命の躍動を感じつつ命のエ ネルギーを高めていくことであると。

人間をいのち全体として見ていくという医療に感動を覚えるとともに、そこに自ずと生死(しょうじ)するいのちをどのよ うに生きるのか、という仏教の根本命題がかかわってくることを学ばせていただきました。

明順寺住職:齋藤明聖