愛する人との別れ

受けとめがたいことですが別れは必ず訪れます。しかもその別れは、いつ、どのように訪れるかわかりません。かけがえのない愛する人の死は、あなたに思いがけない深い悲しみと苦痛をもたらします。

あなたの愛する人は、この苦難の多い世の中をあなたと一緒に「いのち」を尽くして生きられ、今は仏さまに迎えられていったのです。あなたが、愛する人の歩んだ道のりに本当にご苦労さまでしたと手をあわすことができれば、愛する人はあなたの心のなかにいつまでも生き続けてくださることでしょう。

愛する人は「いのち」を尽くして生きられたのです。たった一つ心に残ることがあるとすれば、それはあなたのことでしょう。あなたが、愛する人に心配されないような生き方をしていく、これがあなたのつとめでありそれが何よりの供養なのです。

愛する人は浄土に還って往かれました。それはともに生まれる世界であり、ともに生きる世界です。死はすべての終わりではなく、新たな「いのち」の始まりでもあるのです。

明順寺住職:齋藤明聖

花びらは散っても 花は散らない 形は滅びても 人は死なぬ (金子大榮)