第121回:「光と寿の仏さま」

阿弥陀如来は、限りない「光」と「寿(いのち)」の仏さまです。たくさんの如来さまがありますが、中でも最もポピュラーな仏さまと言えましょう。

原語(サンスクリット語)では、ア・ミータです。アは否定形。ミータは量です。そこで中国の翻訳僧は、阿弥陀如来を「無量寿如来」と訳したところ、人びとの人気を博することになりました。

光明は「智慧」を表します。

寿命は「慈悲」を表すのですが、その証文は見当たりません。どうして無量寿が無限の慈悲と押さえられるのでしょうか。

おそらく、救済されるべき衆生(しゅじょう)が無量であるから、仏のいのちも無量寿であるということ。つまり、一切衆生を摂取(せっしゅ)して捨てないという如来の大悲の限りなさにおいて、無量寿は「慈悲」を表すのではないかと思われます。その如来のはたらきが、光となって私たちの上にはたらくのですね。

明順寺住職:齋藤明聖(釋明聖)