第91回:「平常心と呼吸」

週刊『ゴルフダイジェスト』3月号に、「静かな心のつくりかた」というテーマで横田真一プロと小池龍之介師(僧侶)の対談が載せられていました。

私たちは厳しい緊張のなかに置かれると、過去の失敗体験や未来の不安にとらわれ、平常心を失ってしまうことがあります。それは「今この瞬間」に集中することができないことを意味します。

静かな心を維持するためには、呼吸が大切だというのです。自律神経には交感神経と副交感神経 があり、二つのバランスが良いと免疫力も上がる。交感神経だけでは、呼吸が浅く苦しくなる。呼吸が深くなると酸素が脳に回って血流もよくなり、副交感神経 に働いて体が温かくなりリラックスできるのだそうです。

息を吸うとベーター波という興奮の波長が出て、吐くとアルファー波というリラックスする波長が出る。息を吐くときに、自分の中の汚れた気持ちをそこに込めて吐き出してやる。吸い始めたときに、新しい空気を吸い込むというイメージです。

自分の呼吸を観察していくと、体のなかの偏(かたよ)りや緊張に気づきます。その場所を意識 しながらさらに呼吸を繰り返していくと、心と体がリラックスできる。これは私もヨーガの実践で経験していることです。ゴルフという題材を通して、仏教と ヨーガの共通点を見いだしたように思われました。

明順寺住職:齋藤明聖