第42回:「対話からふれあい、わかちあい」

立川談志がおもしろいことを言っていました。「なに?俺のこと知りたかったら俺に聞いてもだめだ。俺のことは俺には分からない。隣のおやじに聞いと くれ」。今の時代は逆でしょうね。「俺のこと知りたいっていうのに何で隣のおやじに聞くんだ。俺のことは俺が一番知ってんだから、俺に聞いてもらわなきゃ 困るんだ」。

落語の世界でありますけれども、以前はそうした人と人とのつながり、人と地域とのつながりがあったのでしょう。今日でもそうした関係は必要であるとわかっているのですけれども、それがなかなか難しい時代になってきています。

お釈迦さまは、最初の説法で「縁起の法」を説いたといわれています。別の言葉でいえば、つながり、つながる、ネットワーク&コミュニケーションでありましょうか。

さまざまな親子関係のなかで起きる事件をみていますと、親子のあいだにコミュニケーションが欠如していることに気がつきます。今日に必要なものは、ちょっとした「対話」かも知れませんね。対話から、ふれあい、わかちあい、たすけあいの心が生まれてくるように思えます。

明順寺住職:齋藤明聖