第29回:「希望をもって死をむかえる」

もう一度、カール・サイモントン博士の講演から引用しておきましょう。

私たちは希望をもって生き、希望をもって死を迎えることが大切です。それには、まず心を開くことです。好奇心をもって自分を見てあげましょう。大切なのは どんなに病状が悪くても「私は健康になる可能性がある」と信じ、「健康になりたい」という希望を持つことです。

ただし仏教が説いているように「何がなんで も健康にならねば」という執着はいけません。そして「悪化しても大丈夫」「きょう死んだとしても大丈夫」という気持ちを育むことです。

もし、その準備がで きていないのであれば、その準備のために今日なにをしたら良いのかを考えましょう。私たちがゆとりを持って平安な気持で死を迎えることができるためには、 健全な死生観を今日この日に育むことが大切になります。

私たちはみんな人生のなかで困難に直面します。私たちはその出来事によって苦しめられるのでは なく、その出来事をどのように捉えたかによってストレスを受けるのです。これが病気の根源になります。不健全なもののとらえ方を健全化することが究極の癒 しをもたらすのです。

仏教の教えをひも解けばひも解くほど、この考え方を正すということが大切であることが解ります。

明順寺住職:齋藤明聖