第9回:「仏教徒の名のり~世界平和に貢献~」

いま世界ではあたかもキリスト教とイスラム教の戦争状態になっています。

それぞれが一神教とよばれる宗教で、その性格は自らが信ずる神を絶対とし他の神の存在を認めるものではないといわれます。そうした中にあって、先のローマ 法皇ヨハネ・パウロ2世は異宗教との対話を推進され世界から評価されました。

仏教は多元的な価値観をもっています。すべてのいのちは平等であり、そしてそれぞれが関わりあい助けあって生きている。それは人間だけではなく、山に住むきつねやたぬきのいのちもそうです。あるいは木や草のいのちも同じです。こうした仏教のもつ共生の思想は、欧米の合理主義的な考え方と根本的な違いがあります。

長尾真・前京都大学総長は、科学のアジアティック・ターン(アジアへの回帰)が起きていると言われています。

いま、世界から仏教があらためて注目され必要とされているのです。そのようなとき、私ども日本人はどうでしょうか。自信と誇りをもって仏教徒と名のれるのでしょうか?

日本のビジネスマンが海外で「あなたの宗教は?」と聞かれて「無宗教です・・・」と答えてしまうのではないでしょうか。外国では無宗教の人は哲学(考えること)のない人として信用されないということを聞いたことがあります。

皆さまが「私は仏教徒です、ブッダ釈尊の教えはこ うです」と言っていただくならば、それは、ひいては世界の平和に貢献していくことに繋がっていくと私は確信するのです。

明順寺住職:齋藤明聖