病める人、苦しむ人を救うことを生涯の仕事にしていこうと心に決めた人が、長崎に原爆投下されたとき、人の手をふり払って自分一人が助かればいいと逃げていた…。
どれほど人のことを愛しても、私自身の生命が限りあるものである限り、愛される相手の生命が限りある限り、愛には限界があります。
夫であり、妻であり、子であり、兄弟であったとしても、愛はいつでも私自身のエゴイズムを超えることがありません。
そういう無限の愛を夢見る夢から覚めたとき、有限な愛を尽くしていける。自己に立って愛を尽くそうという思いがひるがえったとき、大きな愛(仏陀の慈悲)の中に、限りある無常の愛を尽くしていくことができるのではないでしょうか。
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私の好きな広瀬杲先生の言葉です。
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明順寺住職:齋藤明聖