第61回:「いいお葬式のために」

日、「洋泉社」の企画で、島田裕己先生との座談の機会に恵まれました。島田先生は『お葬式は要らない』の著者で、その意図するところは、派手なお葬式はいらない、高い戒名はいらないということのようです。

社会的儀礼にまでなり、会葬者の70パーセントが故人を知らないというバブル期の葬儀を経験 した私も、これは当然の思いです。「お寺で家族葬」も、心静かに故人を送り、人間は生まれたかぎり必ず死ぬという命の事実に触れていただきたい、そんな気 持ちから提案させていただいているのです。

さらに、このたびの対談をきっかけに、「いいお葬式のために」を考えてみました。弔辞(お別れのことば)のあるお葬式、亡き人への手紙を書いていただくことを提案させていただいています。

それにしても、『お葬式は要らない』という本の題名は、現状の葬儀事情にそぐわない感じがいたします。葬儀において感動を覚え、心の安らぎを得ている人たちにとっては、辛い題名だと思います。

明順寺住職:齋藤明聖

●「いいお葬式のために」