第58回:「仏前のお備え~蝋燭・仏華・香」

仏華(ぶっか)は、寿(いのち)の表現です。「オレの命だからどうしようといいんだ」と、いえないものがありますね。やはり仏さまから賜ったいのちではないでしょうか。

蝋燭(ろうそく)の明かりは、仏さまの智慧の光です。映画のせりふではありませんが「世の 中真っ暗闇じゃござんせんか」。まったく何が正しくて何が間違っているのかわからない世の中です。その無明(むみょう)の世界にあって、私たちは仏さまの 智慧の光に照らされて初めて道を歩くことができるのです。

お香のかおりは誰にでも平等にいきわたります。そういうところから私たちは平等なこころを感じさせていただくことができます。

私は子供のころ学校から成績表をもらってきますと「仏さまに見せていらっしゃい」と、お供え させられました。この成績は学校の先生がつけた成績には違いないけれども、仏さまにいただいた成績だからよく見て反省しなさいということだったのでしょ う。卒業証書もお供えしました。これは本人の努力もさることながら、さまざまな人のお陰があることを知りなさいという意味であったのでしょう。

阿弥陀さまへのお供えは、このように仏さまの願いを聞いていくことなのですね。

明順寺住職:齋藤明聖