高齢化社会になって「家族葬」の需要が増えています。明順寺でも昨年から「お寺で家族葬をしてほしい」という要望がにわかに高まってきました。
昔は大きな 葬儀はお寺、普通の葬儀は自宅で取り行われることがほとんどでした。その後、各地に斎場ができ、それらの施設が充実してくると、お葬式はほとんど斎場で行 われるようになりました。気がつくとお寺の本堂は要らなくなってしまっていたのです。
一方、形骸化した斎場でのお葬式に対する批判もでてきました。葬儀は つとめなくていいという考えも、こうしたことの一つの反映のように思われます。
生きている人たちにお寺や仏教に親しんでもらいたいとの思いから、明順寺でもさまざまな試みをしていますが、「お寺で家族葬をしてほしい」という切実な要 求に応えていくことができれば、それはお寺にとっては仏事としての葬儀の回復、新たな社会との関係構築(お寺のある社会の提示)を実現していくことにもな り、これこそ立派なお寺イベントではないかと考えさせられました。
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明順寺住職:齋藤明聖