天気が大荒れとの予想に反して雨もなく、仏さまの冥加とも思えるお中日でした。今日の天気を心配して前日にお参りにいらした方が多く、用意した100席が余ってしまったのは残念。「真宗宗歌」に始まる勤行は例年通り。皆さまにお焼香していただきました。
法要後、「寺院デザイン」代表の薄井秀夫氏に「これからの葬儀を考える」と題して講演をいた だきました。薄井さんは、これから葬儀社で働く希望をもっている人への講師も務めているという。映画『おくりびと』の影響で、葬儀社への就職希望者が増 え、就職難の状況にあるという。
-薄井-
映画の影響で、葬儀について話題にしやすくなったように思う。葬儀について三つの意味があると思う。【1】亡くなった方の弔い。これは宗教的なもので、弔 いをしない民族はない。【2】亡き人との別れ。告別式といわれる部分がこれにあたる。社会的な意味がある。【3】グリーフケアの意味。悲しみを癒す働きが ある。
欧米では、死別によってパニックに陥り社会生活に影響をおよぼす事例が、日本人よりはるかに多い。そのわけを調べてみると、折々の仏教行事・仏壇にたどり 着くという。それらを通して亡き人と向き合い、心の癒し、区切りとなっているという。
最近は「家族葬」が主流になっている。悪いことではないが、人間は社会的存在であるということをよく考慮して、葬儀の規模を考えるべきである。
よい葬儀社の選び方として、経験者の推薦をいただくのが有効である。できれば担当者も。見積もりを見てもよく理解できない、第三者に同席してもらうと客観 的に判断できる。分からないことは、住職に相談するのが有効だ。平均葬儀に237万円かかるという。明順寺で家族葬を行えば、お布施も含めて200万円以 下でできるのではないか。
自分の葬儀をイメージしてみるのもいい。お別れの言葉を書いてみることも悪くない。自分の葬儀を考えることで、どのように生きるのかが見えてくる。
-住職-
脳科学者の茂木健一郎氏は、葬儀に流す涙は、悲しみの涙ではなく、真実に触れた涙だといわれる。その真実とは、その人が生きていたという事実、そして人間 は必ず死んでいくという事実ではないだろうか。そのことをしっかりと受けとっていく場が葬儀であるということを大切にしてほしい。
明順寺住職:齋藤明聖