真宗会館「聖典学習会」

同朋大学名誉教授の池田勇諦先生を講師に迎えての「『教行信証』に学ぶ」第4回目の講義です。今回のテーマは「真実」と「方便」でした。仏教学では方便 を、【1】施造方便(せぞうほうべん)【2】権仮方便(ごんけほうべん)の二つととらえます。【1】方便は真実と同じであり、また方便はさらに方便を展開 する。【2】展開された方便は、その根拠を真実に求める、という意味でしょうか。
真実とはあくまで無相(むそう)なものです。それは姿かたちを超えているものという意味で、私たちにはとりつく暇のないものです。そこで真実は、私たち に、真実に目覚めさせようとして、姿かたちをとってきます。真実の自己表現です。
これを有相方便(うそうほうべん)といいます。「ウソも方便」ではありません(笑)。ですから方便とは真実と同等のものであって、決して見劣りする格式の下のものということではありません。
曇鸞大師は、二種法身を説かれました。法性法身(ほっしょうほっしん)と方便法身(ほうべんほっしん)です。これは法性法身によって方便法身を生ずるとい うことです。方便法身は私たちの親さま、阿弥陀如来です。ですから法性法身は在る如来であり、方便法身は成る如来であると池田先生はいわれます。成る如来 によって、在る如来を顕在化するということです。
まことに自利利他の教えを開顕する「大乗仏教」は、方便の教えであるということができるのです。
最後までお話を伺いたかったのですが、疲労蓄積のため、途中で退出し帰宅しました。
次回は、8月29日13:00から真宗会館(練馬区谷原1-3-7)で開催されます。

明順寺住職:齋藤明聖