怨みをすててこそ息む―理事長メッセージ―

怨(うら)みをすててこそ息(や)む―除夜の鐘に祈りをこめて―

去る11月13日、パリで同時多発テロが発生しました。多くの、尊いいのちが一瞬にして奪われるという悲惨な事件に、深い悲しみに陥るものであります。特に第2次世界大戦の終戦から70年目の年を迎え、感慨を覚えるものであります。

同時に、世界各地でテロと報復攻撃の連鎖が拡大しており、罪のない市民が多数犠牲となっていることも、憂慮しております。

釈尊は、「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である」(『ブッダの真理のことば』)と語られ、平和を実現するために反平和的手段(武力行動)に訴えることを最も嫌われました。

釈尊のことばに憶(おも)いを寄せて、怨みの恩讐(おんしゅう)をこえて(怨親平等・おんしんびょうどう)犠牲になられた全ての方々を追悼し、武力によらない平和の実現を祈念して「除夜の鐘」を撞いていただきたく、ここに呼びかけるものであります。

2015(平成27)年12月8日 釈尊成道(お悟り)の日にあたって

公益財団法人 全日本仏教会

理事長 齋藤明聖

※大晦日は、パリ同時多発テロで亡くなられた方々の四十九日忌にあたります。